帯状疱疹診療の様子

60代男性
1か月前に左背部から乳輪にかけて痛みが出現し他院の皮膚科に受診。
帯状疱疹と診断を受け、内服薬を処方され治療をしていました。(抗ウイルス薬・アセトアミノフェン処方)
その後も痛みは落ち着かずロキソプロフェンを処方され経過観察。

(左背部の皮疹の様子)

最初の症状出現から約一ヶ月経った頃に電気が走るような痛み、触れたらひどく痛む(アロデニア)、電撃痛というような痛みの症状を訴え当院を受診。

継続する痛みにより夜も眠れない日々が続いていました。
これが帯状疱疹後神経痛となります。帯状疱疹にかかったのちにも継続して起こりうる神経症状のことです。

帯状疱疹にかかると痛みや小さな水膨れが現われます。皮膚症状や痛み(侵害性疼痛)はそのうちに治りますが、それら症状が消えた後にも残るのが帯状疱疹後神経痛です。

※健康長寿ネット 一般的な帯状疱疹の経過 
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/taijouhoushin/shindan.html

この方も約一ヶ月後を目安に帯状疱疹後神経痛が出現してきました。
この患者様に対して当院では硬膜外ブロック注射を施行しました。
またロキソニンでは効かないという処方に対し三環系抗うつ薬であるアミトリプチン、しびれに対してのプレバガリン処方を行いました。

ブロック注射は痛みの出現している箇所の神経節を狙い、硬膜外に局所麻酔を注入。神経を遮断していきます。
すると治療後痛みは消失。
次の日の診察では「1ヶ月ぶりによく眠れた」との発言が見られました。

帯状疱疹は皮疹が治ったとしても継続して痛みを伴うことが多く、痛みに伴い日常生活の質を落としてしまうことが大いに考えられます。
痛みは水疱のできる前から出現すると言われており、この方も5日ほど前から胸部周辺の痛みを感じられていました。早期に抗ウイルス薬を内服することで重症化を防ぐことが可能です。

ブロック注射もまた発症から一ヶ月ほどの効果が高いと言われています。
90日ほど経過してしまうとブロック注射が効かなくなり、点滴等の治療となっていくため、早期での対処が必要です。

また早期の治療も重要となってきますが何よりもかかる前に予防していくことが重要になってきます。
帯状疱疹はワクチンで予防できる疾患です。

万が一かかったとしてもワクチンを接種していることで重症化を防ぐことが可能です。治療が長引いたり、生活においても支障をきたすことがあるので、予防活動が大切です。

当院では50歳以上の方を対象に帯状疱疹ワクチン接種を行っております。
【費用】 10000円(税込み) 50歳以上

| ニュース&ブログ一覧へもどる |