症状と経過
50歳以上の女性に多く、階段の昇り降りで痛みが出るようになります。症状が進行するとO脚変形が明瞭となります。
これは、関節の表面を覆っている関節軟骨が徐々にすり減ってきて、関節に炎症を起こすために生じます。病期の進行具合は、レントゲンで関節の隙間の大小で分類します。
治療方法
痛みの治療と変形の進行を抑える治療の両方が必要になります。
保存療法
運動療法、インソール(足底板)、ヒアルロン酸注射、消炎鎮痛薬を組み合わせて行います。
関節に痛みがあると、力を入れると痛いので歩かなくなり、筋力が低下し、膝関節が不安定になり、軟骨がすり減り、さらに変形が進んで痛みが悪化するという悪循環になります。
そのため、膝関節に重力を掛けずに、痛みが出ない方法で、筋力を強化する運動療法が有用です。特に、初期や中期の変形性膝関節症において、運動療法をしっかり行うことで、5年~10年痛みが出ない状態にすることが可能です。
運動療法
- あおむけに寝て、反対側の膝は立てる。足を真っすぐに伸ばして10cmほどゆっくり上げ下ろしする
- 横向きに寝る。上の脚を伸ばしたまま15cmほどゆっくり上げ下ろしする
インソール
インソール(足底板)は、靴の中に入れておくことで、膝関節にかかる負荷を分散し、痛みを和らげ、変形の進行を抑えます。足底の型を取り、ひとりひとりの足の形に合わせて作成する、治療装具です。
使い始めの2週間くらいは、いつも使わないふくらはぎの筋肉を使うので、筋肉痛になることもありますが、3週間程度使っていると慣れてきます。
ヒアルロン酸注射
膝関節の中の軟骨がすり減った状態だと、膝関節の衝撃吸収力が低下し、関節の滑りが悪くなります。ヒアルロン酸は弾力がある液体で、関節内に注入することで、衝撃の吸収力と関節の動きを滑らかにすることができます。
手術治療
保存治療で充分に効果が得られない場合や、変形が進行した中期・末期の変形性膝関節症に対して手術治療を検討します。関節鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術があります。
人工膝関節置換術は、関節軟骨と骨を削って金属とプラスチックで置換する手術です。1週間ほどで歩行器を用いた歩行訓練が開始され、3週間前後で退院します。術後30日ほどで旅行に出かけられるようになる方もいます。
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