神経ブロック注射は、長引く痛みをやわらげる治療です。
神経痛を抑え、筋肉のこわばりをなくし、血流を上げ、自然治癒へ導きます。
当クリニックでは、慎重な診察の上、症状の改善が期待される場合に、神経ブロック注射を行います。
神経ブロック注射とは?
神経や神経の周辺に、局所麻酔薬などを注射する療法です。ステロイド薬で痛みの伝達をブロックします。
人の自然治癒力を助けて、痛みやしびれなどの症状を改善させていきます。
この神経ブロック注射により、筋肉や組織の緊張がゆるまり血流が改善、痛みの原因物質を流し、炎症を抑えることができます。
1回で改善する場合もありますが、通常、薬での治療と並行して、複数回にわたって、神経ブロック注射で症状の改善を行っていきます。
最新の透視付きレントゲン機器、超音波検査機器を導入し、患部にブロック針を安全に進められるような体制で治療にあたっています。
- 神経根ブロック
坐骨神経痛には、神経根ブロックが有効です。
レントゲン透視をしながら痛みの原因となっている神経に直接、薬液を注入します。
直接、神経周囲に薬液を注入するため、痛みを感じる神経だけでなく、足を動かす運動神経にも働き、3時間ほど足が重くなります。
注射後、3時間前後、ベッドで安静にしてから帰宅します。 - 硬膜外ブロック
脊髄神経の周りを包む膜(硬膜)の外側に薬液を注入し、痛みを和らげます。痛みを感じる知覚神経だけでなく、交感神経にも作用し、血流が良くなり、足が温かく感じます。筋肉の緊張状態も解消されます。 - エコーガイド下ハイドロリリース
筋筋膜性の腰痛には、エコーガイド下に行う、ハイドロリリースが有効です。
筋肉と筋肉は筋膜間の結合組織(ファシア)で隔たれており、痛みに過敏な状態では筋膜間の結合組織(ファシア)に生理食塩水を注入することで、筋膜間の過敏性がおさまります。最新の超音波(エコー)だと、筋膜をとブロック針を画面に映し出すことが可能になり、このような治療が行えるようになりました。 - 椎間関節ブロック、仙腸関節ブロック
椎体と椎体は椎間関節という関節を形成しています。仙骨と腸骨は仙腸関節という関節を形成しています。腰を反らしたときに痛みが増強する場合には、椎間関節や仙腸関節に痛みの原因があることがあります。この関節にブロック針を進め、薬液を注入することで、関節由来の痛みを和らげます。
どこに注射をする?
痛みの症状や部位により、身体に注射する箇所は変わります。主な箇所は以下のとおりです。
- 首の付け根・のど付近:「星状神経節」という交感神経の節に局所麻酔薬を注射して、交感神経の機能を一時的に抑えます。
- 腰のあたり(背骨の下):局所麻酔薬を注射し、脊髄を覆う「硬膜」の外側にある「硬膜外腔」に麻酔薬を注入して、神経の興奮を抑えて痛みをとります。
- 押すと強い痛みを感じる部分:痛みを引き起こす“引き金”となる場所です。筋肉に直接、局所麻酔薬や鎮痛薬などを注射し、痛みをとる。トリガーポイント注射と言います。
神経ブロック注射を用いる主な疾患
顔の痛み
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、など
頭痛
偏頭痛、緊張性頭痛、血管性頭痛、群発頭痛、など
手足の冷え、しびれ、痛み
閉塞性動脈硬化症、末梢神経障害性疼痛、など
肩、上腕の痛み
頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群など
胸部の痛み
胸部帯状疱疹神経炎、圧迫骨折、胸椎椎間板ヘルニア、肋間神経痛など
膝や股関節、下肢の痛み
変形性膝関節症など
腰痛
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛など
その他、痛み以外の疾患
顔面麻痺、突発性難聴など
【動画】各種の神経ブロック注射
エコーガイド下ブロック注射
頚部硬膜外ブロック注射
腰部硬膜外ブロック注射
神経根ブロック
星状神経節ブロック
神経ブロック注射について不安なことがあれば、些細なことでも構いません。お気軽に医師や看護師にご相談ください。