腰痛発症して間もない頃は安静が必要ですが、痛みが和らいだら通常の活動を心がけることが腰痛の回復には早道です。
安静にしていると、腰の筋肉への血液が供給が滞り、組織の修復が遅れるためです。
筋緊張を緩めるためには、痛みのない範囲で活動することが重要です。
急性期が過ぎたら、身体を温めることで血行が良くなり、機能回復が促されます。
生活習慣の改善により腰痛予防に繋がることもあります。
専門の医療機関を受診する
腰痛は男女とも国民の愁訴の上位を占める症状で経験率は70%、複数回起こす人は25~40%と言われています。
腰痛は原因には様々なものがありますが、多くは筋肉が炎症を起こすタイプのものです。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因となって急性腰痛を引き起こす場合もあります。
専門の医療機関を受診することで検査をし医師の診断で注射やお薬の処方など適切な治療を受けることができます。
画像診断で圧迫骨折やすべり症などの疾患が発見されることもあります。
専門の医療機関ではこのような治療を受けることができます。
神経ブロック注射
痛みのある部位の神経周囲に局所麻酔薬を注入し、痛みを和らげる治療です。
このように、痛みが痛みを招く「痛みの悪循環」が生じます。
痛みを感じている状態が続くと痛みが記憶され慢性化してしまいます。
神経ブロック注射をすることで麻酔薬が神経に作用し、痛みが脳に伝達するのを阻止します。
それに加え交感神経をブロックすることで神経が落ち着き血流も良くなり治癒を促進させます。
これらの作用で痛みの悪循環を断ち切り慢性化を予防することができます。
薬の処方
腰痛治療の薬は以下のような種類があります。
非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDs)
痛みを増強する体内物質プロスタグランジンの生成を阻害し腰痛を緩和させます。
(ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェン、インドメタシンなど)
オピオイド
麻薬性鎮痛剤の総称で強い腰痛に用いる薬です。
麻薬性鎮痛剤といっても用法・容量を守り適切に使えば依存症に陥ることはありません。
神経の伝達を抑制することにより辛い痛みを和らげます。
鎮痛効果は高いですが、嘔気や便秘など服反応が起こりやすいです。
(トラマールやトラムセット、ノルスパンテープなど)
アセトアミノフェン
とても安全性の高い解熱鎮痛薬です。
抗炎症作用はわずかではありますが、穏やかに痛みを抑えます。
(カロナール)
筋弛緩薬
痛みによる筋肉の緊張が痛みを更に助長させてしまうことがあります。
その場合筋弛緩薬を使用することで筋肉のこわばりやコリを弛めて血流を改善させます。
(ミオナールなど)
抗鬱薬
うつ病に用いられる薬ですが長引く腰痛に使用されることもあります。
痛みを抑制する経路の働きを活性化し、鎮痛効果を発揮します。
(サインバルタなど)
理学療法
症状に応じて有酸素運動や筋肉トレーニング、可動域訓練、筋弛緩訓練、ストレッチなど行います。
運動療法の目的として痛みによって硬く緊張した筋肉をほぐし血流を促すこと、緊張や痛みで制限されてしまっている関節可動域を広げること、痛みにより低下してしまった筋力を向上させ運動機能を回復させます。
安静にし過ぎず可能な限り普段通りの生活を
発症直後から翌日頃までの急性期は無理をせず楽な姿勢で安静にしてください。
横向きで軽く膝を曲げる体勢や、仰向けで両足をクッションに乗せる体勢が腰に負担が掛かりにくく効果的です。
急性期は患部の炎症を抑えるために冷やすことも有効です。
痛みが落ち着いたら冷やすのはやめましょう。
痛みが落ち着いたら通常通り活動した方が治りが早いとされています。
我慢できない激痛でない限りできるだけ日常の生活を心掛けるようにしてください。
ずっと同じ体勢で安静にしていると寝ているときは痛みを感じませんが、筋肉が緊張してしまい起き上がる時に痛みを感じてより一層筋肉が緊張します。
また安静時には筋肉組織に必要最低限の血液しか供給されないため、回復が遅延してしまいます。
痛みのない範囲で活動することにより、筋肉に血液が供給され緊張が弛むことで身体も動けるようになっていきます。
急性期が過ぎ炎症が落ち着いたら身体を温めましょう。
入浴など身体を温めることで筋肉や靭帯の血行が良くなり緊張が軽減し損傷している組織の機能回復を促します。
最後に
多くの人が経験する腰痛。
一度なってしまうと日常生活や仕事に影響してしまいます。
なるべく早めに専門の医療機関を受診し治療をスタートしましょう。
腰痛の原因は生活の背景に隠れていることもあります。
ストレスや運動不足、睡眠などです。
生活習慣の改善により腰痛予防に繋がることもあります。
医療機関では専門のスタッフが生活習慣相談を行いアドバイスをすることもできます。
是非サポートを受けてみてください。
この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任