帯状疱疹診療の様子

当院には毎月10名程の患者さんが来院されますが、今回は頚部の帯状疱疹発症後に顔面神経にウイルスが伝播し、続発的に顔面神経麻痺を発症してしまった非常に珍しい患者様の治療をさせて頂きました。

60代男性
3週間前から発熱、右頸部から右腕の痛み、皮疹の出現があり、症状から6日後に当院を受診しました。
触れるとひどく痛むアロデニア症状も出現しており、夜中は一時間で目が覚めてしまう状態にある患者様でした。痛みの治療としてはアミトリプチン、プレガバリン、セレコキシブを処方し、頸部硬膜外ブロック注射を実施しました。
治療前までは寝れない痛みが続いていましたが、その日は朝まで寝れるまでに痛みが改善されました。

しかし発症から二週間後、来院一週間が経過した頃頬の痛み、顔の動きずらさ、水が漏れてしまうなどの症状を訴えるようになりました。
麻痺スコアテストを実施すると40点中4点。顔面神経麻痺の症状が出現していました。

※市川総合病院 顔面運動評価法より40点法(柳原法)
https://www.tdc.ac.jp/hospital/section/facialpalsy/diagnosis/diagnosis_02.html

この患者様に対してプレドニンの処方を行い、日々量を漸減していく治療を開始。
一週間後には40点中22点まで改善されました。
現在は痛みより痒みが主症状になっており、リドカインクリームを塗布。硬膜外ブロック注射の回数を減らしながら点滴治療も併用し、経過観察中という段階であります。

このように帯状疱疹後神経痛に対しては主に、投薬治療と神経ブロックの治療を行なっております。
神経ブロックの治療では患者様の痛みの症状や仕事に合わせて日程の調整や神経ブロック注射の選定を行っていきます。

当院で行っている神経ブロック注射の主な種類
  • 硬膜外ブロック
  • 星状神経節ブロック
  • 肋間神経痛ブロック
  • 仙骨ブロック
  • レントゲン透視下神経ブロック

帯状疱疹は大人になり、疲れやストレスなどがきっかけでウイルスが動き出し神経を伝わって皮膚に出現してくるものです。
免疫力が低下しないように体調のコントロールが大切になります。
以下を意識して免疫力を高めていきましょう。

  • 適度な運動を心がける
  • 食事のバランスを心がける
  • 質のいい睡眠をとる
  • ストレス発散をする

また万が一かかった場合も、帯状疱疹としては人にうつることはありません。しかし、水痘ウイルスに対する免疫を持っていない場合、感染する場合があります。子供や妊婦さんの場合は気を付けましょう。

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