脊柱管狭窄症のブロック注射について

脊柱管は背骨の中央にある空間のことで中に脊髄が通っています。この脊柱管が狭くなる疾患が脊柱管狭窄症です。脊髄神経は手足を動かすなど、知覚神経をつかさどる神経なので、なんらかの原因で圧迫されることで痛みやしびれなどの症状を引き起こします。腰部脊柱管狭窄症は、若い人よりも、60歳以上の年配の方に多い疾患です。長時間座った後の歩き始めの足まで響く痛みがある、数分歩くと足がしびれてくる、足の裏に薄皮が張り付いたように感覚が鈍いなどの症状があれば脊柱管狭窄症かもしれません。原因は背骨の骨(椎体)の変形や、椎体と椎体のずれ、椎間板の変形などが挙げられます。これらが組み合わさることで脊柱管が圧迫され、しびれや痛みが出現します。

治療は手術は薬物療法、痛みを和らげるブロック注射が挙げられます。


本日は当院でも行なっているブロック注射について説明します。ブロック注射とは麻酔薬を注射することで、神経を落ち着かせ、痛みが繰り返し起こらないようにします。痛みがあると血行不良が起こり、発痛物質がたまりやすくなります。そうすることでさらに痛みが生じて、また神経を過敏にしてしまうという、悪循環に陥ります。ブロック注射を行うことで神経を落ち着かせ、血行を保ち、それにより患部への酸素や栄養素の供給や老廃物の排出が正常に行われ、痛みは解消に向かっていきます。そのため、血行が改善されて患部の状態も良くなっていき、麻酔が切れても痛みが和らいでいきます。

方法としては硬膜外ブロックは脊髄を包む3枚の膜の外側のスペース(硬膜外腔)にまで針を進めて、局所麻酔薬を注入します。そうすることで、ダメージを受けて活性化した神経の活動を抑え痛みをとります。1回の硬膜外ブロックで症状が完全になくなることもありますが、より効果を出すために何度かブロックを受けて頂くこともあります。注射自体は30秒程度で終了します。終了後は副作用の有無を見るために30分ほど安静にしていだだきます。硬膜外ブロック後、数分から10分ほど経つと手足が暖かく感じるようになってきますが、これは局所麻酔薬によって血圧を保つ自律神経に麻酔がかかり、血管が拡がって、血液の流れが良くなったためためなので、心配ありません。


安静後起き上がったときに、ふらつきや手足の脱力などが出ることがあるので、無理に起き上がらずに、すぐ近くにいる医師や看護師に知らせてください。神経ブロック注射について不安なことがあれば、些細なことでも構いません。お気軽に医師や看護師にご相談ください。

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