両膝・両手指・両足指の痛みを訴えて、ペインクリニックを受診された患者さまを診療しました。
血液検査
10年前に関節リウマチの診断を受けたきり、治療はせずに過ごしていたそうです。指趾の変形を認め、関節リウマチを精査するため、血液検査を行いました。関節リウマチ特有の検査所見で、炎症反応も上がっていました。
治療方針の決定
メトトレキサートの内服を開始し、両膝関節にヒアルロン酸注射を行いました。膝と指趾の痛みは改善傾向とのことです。ペインクリニックでは神経ブロック注射を行うことが多いのですが、今回の症状は神経ではなく、主に関節の症状が主体だったたため、関節腔内にヒアルロン酸注射を行いました。変形を伴う関節の炎症による痛みであるため、NSAIDsの貼付剤も併用しました。
レントゲン検査所見と対応
10年間、関節リウマチの治療をしてこなかったことで、レントゲン検査では骨びらんを多数認め、進行抑制のため、抗RANKL抗体製剤の注射を開始しました。まず6ヶ月に1回の頻度での注射を行い、骨びらんの進行抑制が認められるか経過観察。その後、骨びらんの進行が認められる場合には、3ヶ月に1回の頻度に増やしていきます。
抗RANKL抗体製剤の注意点
抗RANKL抗体製剤は、骨を壊す細胞(破骨細胞)を抑制することで、骨密度や骨びらんの抑制効果を発揮します。結果として、骨から血液中に放出されるカルシウムが減り、低カルシウム血症をきたすことがあります。初回に血清カルシウム値を測定しておくことと、その後も定期的に血清カルシウム値を測定し、カルシウム値の変動に注意していく必要があります。