生活習慣を見直すことで高血圧の内服薬をやめることは可能でしょうか?

内服をやめられる可能性はあります。生活習慣を見直すことで血圧を下げることができるからです。

 高血圧と診断された方は日本全体で約43,00万人いると推定されています。日本人の3人に1人は高血圧というくらい多く、国民病とも言われています。

高血圧の治療費は、とある保険組合が調査したところによると高血圧症による一ヶ月当たりの治療費は16,660円(自己負担額3割の方で4,980円)でした。年間に換算するとかなりの負担になります。

生活習慣を見直して内服をやめることができれば、身体にも経済的にも優しいですね。日本高血圧学会の「日本高血圧治療ガイドライン2019」では、高血圧治療には「1.生活習慣の修正」「2.降圧薬治療」があげられています。

生活習慣の修正

高血圧の内服をやめる方法は以下の事がポイントです。

①食塩制限6g/日未満
②野菜・果物の積極的摂取
③適正体重の維持(BMI25未満)
④運動療法
⑤禁酒
⑥禁煙

日本高血圧治療ガイドライン2019 p.64 のグラフから各修正項目単独でも降圧効果が得られているのがわかります。単独でも効果が出ているので、これらを複合的に行うことで更に降圧効果が得られます。

減塩

日本高血圧ガイドラインでは減塩目標6g/日未満です。
日本人の食塩摂取量は減少傾向ではありますが、国民栄養・健康調査では男性10.8g/日、女性9.1g/日とまだ摂取量が多い状況です。

アメリカの高血圧ガイドラインでは減塩目標値食塩相当量で3.8g/日を提示していますが、目標値を達成できなくても最低2.5g/日減らすことで降圧が得られています。減塩を心がけましょう。 

野菜・果物の積極的摂取

野菜・果物にはカリウムが含まれています。カリウムはナトリウムの血圧上昇作用に対し拮抗的に作用します。

野菜・果物を積極的に摂取することで血圧降下に期待できます。

※糖尿病・肥満の方は適正エネルギーがあります。果物に対して1単位(80kcal)程度までと提唱されているので注意が必要です。(バナナは1本程度、リンゴは1/2個程度)

※慢性腎臓病ステージ3bなら2,000㎎以下、ステージ4なら1,500㎎以下のカリウム制限があるので注意が必要です。

適正体重の維持

肥満は高血圧の発症因子です。
肥満を解消することで降圧効果が確立されています(メタ解析では約4kgの減量で-4.5/-3.2mmHgの降圧)。BMI25未満を目標に時間をかけてでも減量しましょう。

運動療法

生活習慣管理ガイドラインではメタ解析の結果をもとに運動療法では、収縮期血圧で2~5mmHg、拡張期血圧で1~4mmHgの低下が期待できます。

速歩やスロージョギングなど有酸素持久性動的運動が推奨されています。運動の強度はボルク指数で「12~13のややきつい」程度。それを毎日30分以上行うことを推奨します。

禁酒

飲酒は血圧上昇の原因となります。
高血圧の管理ではエタノールで男性20~30ml(日本酒一合、ビール中瓶一本、焼酎半合、ワイン二杯程度)/日、女性はその約半分10~20ml/日に制限することがお勧めです。

禁煙

紙巻きタバコ一本の喫煙で15分以上持続する血圧上昇が引き起こされます。
喫煙の急性効果として血管収縮、慢性効果として動脈硬化があります。

これらは高血圧発症に深く関わります。基本的に喫煙そのものは身体に良いことが全くありません。本数を減らすまたは禁煙しましょう。

内服をやめるための道はご自身の我慢や頑張りも必要です。
当クリニックでは専門スタッフがお話しを伺い、サポートさせていただきます。
薬に頼らず少しの頑張りとその積み重ねで健やかな生活を送れると良いですね。是非お気軽にご相談ください。
※内服をご自身の判断で中止はせずに、必ず医師の診察を受けましょう。

この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。

【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任

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