睡眠薬を飲み続けることはおすすめできません。お薬なのでリスクはあります。お薬に依存することで不安が強まってしまう、さらに不眠に、認知症のリスクが高まるなど言われています。
睡眠薬には大きく分けて4つの系統に分かれます。
・ベンゾジアゼピン系
・非ベンゾジアゼピン系
・メラトニン受容体作動薬
・オレキシン受容体遮断薬
日本で不眠症の方が処方されるのはベンゾジアゼピン系(ハルシオン・レンドルミンなど)が多いです。ベンゾジアゼピン系はGABA受容体作動薬です。
脳の中でGABAという神経伝達物質が分泌されるとGABAがGABA受容体につき不安が解消されリラックスできます。
飲み始めはとてもよく効きます。しかし飲み続けると耐性ができてしまいGABA受容体についても身体全体が防御反応を起こしだんだん効かなくなってしまいます。
耐性ができることでリラックスできず眠れなくなり不安神経症の要素が強くなってしまいます。
睡眠薬を飲み続けることが原因で不安が強くなり体調が悪くなったりうつ病になってしまうこともあります。
結果、薬の量が増えてしまったり強い薬が処方されるなどし、悪循環でさらに耐性ができてしまいます。
毎日睡眠薬を内服し眠れている人は不安が解消されていて内服しなくても眠れると思いますが、そのような場合でも自己判断で急に断薬すると離脱症状が出て生きていく上で不安や障害はないのに不眠の状態になることがあります。
長期間ベンゾジアゼピン系を内服している方は断薬して離脱するまでに2週間くらいかかります。断薬には少しづつ減量していく方法があります。
また、ベンゾジアゼピン系を長期内服していると認知症になりやすいと言われています。
人間は睡眠中記憶を整理していて必要な記憶は脳にインプット、不要な記憶はシャットアウトしています。脳の海馬が記憶を司っています。
内服を長期していると海馬の機能が低下してしまい睡眠中記憶が整理できなくなります。整理ができなくなってしまうので記憶力が落ち、物忘れが多くなったり記憶が曖昧になってしまいます。
これは高齢者だけでなく若い方もです。
断薬のポイント
・よく眠れている
・主治医も賛成している
・生活習慣が整っている
この3つが揃っていると断薬に進めそうです。
不安で眠れない、眠れなくてストレスでどうしようもない、眠れなくて辛い気持ちが強まってしまうなどの時は医師に相談し、上手くお薬と付き合っていきましょう。
この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任