ペインクリニックにて、診断と治療を行うことが可能です。ご質問からは主に2つの鑑別を行うことになります。
- 帯状疱疹による後頭神経痛
- 後頭神経領域メインの緊張型頭痛
2の場合には、同じ姿勢のデスクワークやストレスにより痛みが変動するなど、日常生活に原因があることが多く、また頚椎の形状によって症状が出やすいという特徴があります。
今回は、1の帯状疱疹による後頭神経痛について、詳しく解説します。
帯状疱疹による後頭神経痛
症状として、体の左右どちらか一方に痛みがあったら、帯状疱疹の可能性が高いです。これに続いて斑点、小さな水ぶくれが帯状にあらわれたら、帯状疱疹です。
帯状疱疹は、身体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
60歳代を中心に50歳代~70歳代に多くみられる病気ですが、過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくありません。
主な発症部位
一般に、身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状にあらわれるのが特徴です。また胸から背中にかけて最も多くみられ、全体の半数以上が上半身に発症します。また、顔面、特に眼の周囲も発症しやすい部位です。
皮膚症状の経過
- 赤い斑点のあらわれる数日~1週間ほど前から、皮膚の違和感やピリピリ感などの神経痛を伴うことがあります。
- その後、強い痛みを伴い、身体の片側の神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点があらわれます。軽度の発熱やリンパ節の腫れなどがみられることもあります。
- 続いて赤い斑点上に水ぶくれがあらわれます。水ぶくれは破れてただれた状態となり、かさぶたへと変わります。
- 皮膚症状が治ったあとも、後遺症として帯状疱疹後神経痛が残ることがあります。
帯状疱疹後神経痛という、やっかいな後遺症
通常、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリするような痛みが持続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって起こります。
急性期痛と帯状疱疹後神経痛の痛みの違い
急性期痛は、皮膚や神経の炎症によるものですが、帯状疱疹後神経痛は神経の損傷によるものです。帯状疱疹後神経痛が残った場合は、ペインクリニックなどでの専門的な治療が必要となる場合があります。
次のような人は、帯状疱疹後神経痛が残る可能性が高ため、注意が必要です。
- 皮膚症状が重症
- 夜も眠れないほど強い痛みがある
- 高齢者(60歳以上)
通常は生涯に1度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発することもありますが、稀です。
帯状疱疹の治療は最初にしっかりと集中して治療しないと神経痛が残ってしまうことがあります。まずは、疑わしいと思ったら、診察をしましょう。