痛みに対する治療をおこなうという広範な意味においては、ペインクリニックも整形外科も共通します。
病院の整形外科とクリニックの整形外科では役割も違ってきます。病院の整形外科ではその名のとおり「外科」として手術を行いますが、クリニックでは手術室がない整形外科クリニックも多く、結果的に外来診療のみを行うこととなります。
ペインクリニックは、もともと投薬や注射で痛みの治療を行う診療科目として発展しているので、整形外科クリニックと同じような対象を扱うことになりますが、それぞれの得意分野が異なります。
ペインクリニックとは
ペインクリニックの”ペイン”は「pain=痛み」という意味で、痛みの治療に特化した診療所です。肩こり・腰痛・膝、肘など関節の痛みやしびれの原因をレントゲン検査などで診断し、神経ブロック注射(硬膜外ブロック注射、星状神経節ブロック注射など)や薬物療法などをおこないます。
痛みの症状を緩和し、苦痛から解放することを目的としています。
日本では、一般的に麻酔科出身の医師が担っています。また、理学療法士などとも連携をとりながら治療をおこなっていきます。
対象の痛み
頭痛・肩こり・腰痛・坐骨神経痛・三叉神経痛・帯状疱疹の痛み
腕や手、膝などの四肢の痛み、しびれ・術後の痛みなど様々な痛みを対象としています。
さらに、ぎっくり腰のような急性期の痛みも対象です。
治療方法
薬物療法、神経ブロック注射、リハビリテーション、超音波エコー装置を用いた治療など様々な方法で痛みやしびれを軽減させていきます。
整形外科とは
整形外科は筋肉や骨、関節などの領域を対象とし、薬物療法やリハビリテーション、手術療法などをおこない、機能面の回復を目的としています。
対象の痛み
全身の筋肉や骨、関節などの外傷(怪我)や病気を対象としています。
具体的には、打撲、捻挫、骨折、靱帯損傷などの外傷。加齢に伴う変形性骨関節疾患、骨粗しょう症、 関節リウマチ、痛風、運動器の腫瘍、運動器の先天異常による先天性疾患など、内容は広範囲です。
治療方法
薬物療法、神経ブロック注射、リハビリテーション、骨粗鬆症治療などが挙げられます。
ペインクリニックと整形外科の違い まとめ
ペインクリニック:痛みを取り除く、緩和する
整形外科:機能回復
痛みは目に見えないため、家族や職場の方など周りの方に同じように理解してもらうことは難しく、我慢してしまう方がほとんどです。ですが、我慢を続けてしまうと仕事や日常生活にも影響を及ぼしてしまうほど悪化してしまう場合もあります。
さらに、ご自身では今後痛みとどう付き合っていくべきなのか判断が難しいと思いますので、「この程度でクリニックにかかるなんて…」と思わずに、お近くに医療機関に相談するようにしましょう。症状が軽い場合でも、その先困らないように予防の習慣をつけることをサポートできますので、まずはお話を聞くだけでもいらしてください。