産後腰痛になって皆さんが最初にかかるのは「整形外科」でしょうか?それとも「産婦人科」でしょうか?
産後腰痛は基本的には、整形外科の受診が多いです。出産後6ヶ月に産婦人科の検診で多くの場合、運動許可がでます。
しかし、産後腰痛に対してどのように運動していいのかわからないという方がとても多いです。
多くの整形外科には、リハビリ施設や運動施設があります。産後の腰痛に対してはリハビリで働く理学療法士や、運動施設で働くトレーナーが専門的な指導を安心して受けることができます。
産後腰痛に対してできること
産後腰痛には質問者様がおっしゃるように「骨盤底筋」の機能がとても重要です。
骨盤底筋群を含む骨盤・体幹を安定させる構成体をインナーユニットといいます。
インナーユニットは骨盤底筋群、多裂筋、横隔膜のことをさします。
産後腰痛に関連するインナーユニット
・骨盤底筋群
・腹横筋
・多裂筋
・横隔膜
インナーユニットの横隔膜と骨盤底筋群はその位置関係やその活動状況からもお互いに拮抗する働きを持っています。
吸気時には横隔膜は下方に下がり、骨盤底筋群は弛緩して腹部は大きくバルーンが膨らんだようになります。
逆に呼気時には横隔膜は上方に上がり、骨盤底筋群は収縮して上方に上がる働きを持っています。
横隔膜と骨盤底筋群の関係
・息を吸う時
吸気時はには横隔膜は下方に下がり、骨盤底筋群は弛緩して腹部はバルーンのように大きくなります。
・息を吐く時
横隔膜は上方に上がり、骨盤底筋群は収縮して上方に上がる働きを持っています。
一般的な健康な方だと咳やくしゃみなどにより腹腔内圧が上昇すると骨盤底筋群、腹部筋の反応は内側方向に動きが生じます。しかし尿失禁の症例に置いてはこの際に骨盤底筋群、腹部筋が外側方向へ向かって動きが生じてしまいます。
産後腰痛の骨盤底筋セルフチェック
骨盤底筋群の筋機能評価
仰向けで尾骨のところに手を置き、骨盤底筋群の収縮を指示します。
正しく収縮できれば尾骨から手が離れ持ち上がるのを触知できるようになります。
より正確に動きを評価するには会陰腱中心を触知し、収縮時の腱中心の運動方向を評価することが有効である。
インナーユニットとしての機能
骨盤底筋と横隔膜が協調的に呼吸時に活動できているかを評価します。
また咳や下肢の挙上などにより負荷が加わった際の骨盤底筋郡をはじめとするインナーユニットの強化も重要です。
尿失禁や体幹機能不全症例では負荷が加わった際、腹部や骨盤底部に対して外側方向に圧が伝導していることが確認できます。
産後腰痛の現場
最初に産後腰痛は見てもらうなら整形外科か?産婦人科か?というお題で記載しました。
腰痛の診察なら整形外科をおすすめします。その理由はリハビリテーションを受けることができるからです。
しかし、リハビリテーションの中でも産後の腰痛に関して精通しているスタッフは限られています。
ぜひ様々な施設をのぞいてみましょう!
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この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任