水泡が治れば、痛みも治る、と思われるかもしれませんが、発症後すぐの治療を怠ると、神経痛が残ってしまう可能性があります。
又、軽症だとつい「たいしたことない」と思ってしまうかもしれませんが、放っておくと重症化し「帯状疱疹後神経痛」という症状に進行することもあります。
発症したら、なるべく早く医療機関を訪れる事をおすすめいたします。
帯状疱疹とは、子供の頃に罹患した水痘(すいとう)、すなわち水疱瘡(みずぼうそう)のウイルスが再活性化することで発症する病気です。
水疱瘡ウイルスは水痘が治癒した後、皮膚にのびてきている知覚神経を伝って、背骨に付随している神経根(脊髄後根神経節)にたどり着き、潜伏します。
水痘にかかったことがある人は全員、その状態になっていると考えられます。
水痘に対する免疫が完成すると二度と同じ病気を発症することはありませんが、先に挙げた要因などによって一部の免疫が低下すると、それまで眠っていた水疱瘡ウイルスが目覚め、神経を壊しながら増殖していくのです。
◇症状の現れ方
- 体や顔の左右どちらかに、ピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛が生じる
- 数日後、痛みのある部位に赤い発疹が出てくる。
(初期段階では「虫刺され」「小さなおでき」「かぶれ」のように思われることが多い。) - 進行すると発疹が小豆大くらいの水ぶくれになり、体や顔の片側に、帯状になって広がる。
水ぶくれはやがて破れてただれ、かさぶたになる。
発疹が出たら3日以内に受診をしましょう。
体の片側に起こる神経痛が帯状疱疹の最初のサインですが、次のような病気や症状と誤解されることは少なくありません。
◆頭の痛み――偏頭痛
◆肩周りの痛み――五十肩
◆胸の痛み――狭心症
◆腰の痛み――腰痛症
◆腹部の痛み――虫垂炎、尿路結石など
「帯状疱疹かもしれないけれど、医療機関を受診するのは2~3日後にしよう」などと先延ばしにすると、症状がさらに長引くことになるのはもちろん、抗ウイルス薬の効果が十分得られない可能性も高くなります。
上記のような病気や症状には該当しない、医療機関を受診しても痛みの原因が判明しない、ということも痛みだけの段階ではよくみられます。
帯状疱疹は早期発見、早期治療で後遺症なく治癒できる病気です。
治療は抗ウイルス薬が中心で、外来での内服または入院での点滴が行われます。
ただし、治療を開始してすぐに症状が改善するわけではありません。
抗ウイルス薬が体内に取り込まれ、ウイルスの活動が停止するまでに2~3日かかると考えられています。
痛みや皮膚の症状が改善してくるのはその後ということになります。
症状に気づいたのが週末だった場合には、土日も診療している医療機関や救急外来などを受診してください。
内服、点滴、いずれの場合も治療は7日間で終了します。
疲労の蓄積などによって免疫が低下したことで発症している場合が多いので、十分に休息をとり、安静に過ごすことを心がけましょう。