当院では膝関節がしっかりと伸ばせるように、過度な外旋が下腿に加わらないようにストレッチ指導・動作指導・運動指導・下肢筋力強化等を行なっております。週1回〜2回といった頻度で来院される方が多い為、自宅での運動指導をおこなった上で当院でのリハビリをすすめております。
なぜ膝関節が伸ばせるように、過度な外旋が下腿に加わらない必要があるのか
1.膝関節を伸ばせるようにする理由
膝が伸びなくなると、股関節が曲がり円背姿勢を誘発する
膝が曲がってくると股関節が曲がり、骨盤が後傾し円背の姿勢を誘発します。
そうすると膝関節への痛みを起こしやすくなり、動作を行うことがおっくうになり活動制限に陥ります。
膝関節の関節面の接触面積が小さくなり、不安定になる
膝の関節がしっかり伸びることができれば関節の面が広く接触することが可能です。
しかし、膝の関節が曲がってくると接触する面積が狭まり体重をかけた時や歩く時、階段昇降の際などに不安定性が生じます。
歩行時の床反力が本来お尻の筋肉で衝撃を吸収するものが膝関節に負担がかかる
通常、歩行を行う際は踵から接地を行います。しかし、膝関節が曲がってくると足裏全体の接地(全面接地)や前足部からの接地になります。
そうすることで本来かかるメカニカルストレスと異なるストレスが加わり痛みや筋力低下、歩行速度の低下等をまねく恐れがあります。
2.過度な外旋が下腿に加わらない必要がある理由
通常の膝の状態と膝関節の捩れの確認方法
膝蓋骨の左右から下ろした線に対して脛骨粗面は初めからやや外側に位置しています。
そのため、目安として脛骨粗面が膝蓋骨から下ろした線にかかってきたら外旋していると判断できます。
膝の曲げ伸ばしを行う際に、伸ばすと脛骨が外旋・曲げていく際に内旋を伴います(screw home movement:スクリューホームーブメント)。
膝関節の痛みは膝の過度な外旋に関与していることが多い
膝関節は過度な脛骨の外旋による捩れによって痛みが誘発しやすいとされています。その組織の中で代表的な3つを今回は挙げさせていただきます。
例1) 膝蓋下脂肪体
なぜ関与しているかというと、膝蓋下脂肪体は縦方向に移動します。
そして関節の中に滑り込んできます。その為、外旋運動を伴うと滑り込む経路が狭くなり、狭くなった経路に膝蓋下脂肪体が入ってくると痛みを伴います。
例2)鵞足(半腱様筋、半膜様筋、縫工筋)
これらの筋肉は膝の後ろから回って、内側前方に付着します。
つまり、外旋を伴うと伸長され疼痛を伴います。
その状態で屈曲伸展運動を行うとスクリューホームーブメントの影響から、はじめから外旋運動を伴っていると伸張痛が見られます。
例3)膝窩筋
膝の後ろの筋肉で唯一斜めに走っている筋肉です。
外側上顆〜脛骨後面内側に付着している為、内旋すれば収縮するが過外旋すれば伸長され伸長痛が見られます。
上記のようにならないようにする為に自宅での運動、動作指導・姿勢指導を行っていく必要があります。
気になった方は、是非当院への受診を受けてみて下さい。笑顔溢れるスタッフ一同でお待ちしております。
この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任