腰痛を以前から患っています。薬局やスポーツショップへ行くと腰痛ベルトが売られていますが、腰痛ベルトをした方がいいのでしょうか?

結論から言いますと、付けることを悪いとは言いませんがあまり効果はないかもしれません。
※痛みの原因や状況によって必要な場合もあります。

腰痛診療ガイドライン2019(改定第2版)では、腰痛ベルトやコルセット等の腰痛サポートは無治療と比較をすれば短期間での機能改善を示すものの、腰痛ベルトやコルセット等の腰痛サポートを付けたことによる痛みの改善を顕著に認める研究は少なかったとされています。

ですが、人によっては腰痛ベルトをする・しないで痛みの出方が変わる人もいらっしゃるかと思います。
その際になぜ、痛みの出方が変わるのかをご説明させていただきます。

大事なのは腰痛ベルトに頼らない「腹腔内圧」

腰痛ベルトをすることによる変化としてひとつ挙げられるものに、腹腔内圧があります。腹腔内圧とは、簡潔に表すと「お腹にかかる圧」のことです
例えば、「お腹に力を入れて!」と言われると、グッとお腹が凹みますよね。この際、いわゆる腹筋などの筋肉によってお腹に圧がかかります。その圧を意識的にかけることができるかどうかが腰痛にも影響してくる場合があります。

一般的に腹腔内圧を高める・それをコントロールするには、コアマッスルが大切だと言われます。コアマッスルとは、横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群・腹横筋を示します
これらの筋肉が弱ってしまったり、上手くコントロールすることができなくなると、腰痛に繋がることもあります。

腰痛ベルトは締め付けることにより、人工的にこの腹腔内圧を高めることができます。腰痛ベルトをすることで痛みが軽くなる場合には、腹腔内圧が腰痛ベルトにより高められたことが要因である可能性が高いかと思われます。

腰痛に悩んだ時は・・・

「腰痛」にも種類があり、痛みの発生する動き(身体を屈めた時・身体を反らした時など)や痛みの要因となっている部位も様々です。痛みの要因となっている部位では椎間板(一つひとつの背骨と背骨の間にあるクッションの役割)のトラブルや、筋肉やそれらを囲む筋膜のトラブル、その他にも仙腸関節や背骨と背骨の間でのトラブルもあります。

そのため腰痛があるからと言って簡単に腰痛ベルトを行うのはオススメしません。

腰痛に悩んでおり、「何とかしたい!」と思うのであれば、自分の「腰痛」がどんな場面で痛むのか何を要因として痛むのかを専門家とともに特定する必要があります。

そのため、腰痛に悩んでいる方は適切な医療機関へかかることをオススメします。

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まとめ

腰痛予防に対する腰痛ベルトやコルセット等の腰痛サポートの効果は今までの研究では示されていません。
ですが、状態によっては効果が見込める場合もあります。腰痛ベルトに腰痛予防効果を期待するよりも、理学療法士などの専門家と動き方を相談したり、一緒に適切な運動をしていくことが良いかと思いますので、もしもお悩みの方は是非ともご相談ください。

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この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。

【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任

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