外傷の契機もなく、足の親指が痛くて腫れているということであれば、おそらく痛風だと思われます。
薬物治療では、その時は改善されますが、また繰り返す、といったことになってしまいます。
薬を飲んでいれば痛風発作は抑えられるかもしれませんが、メタボリックシンドロームや、生活習慣病、虚血性心疾患や脳卒中のリスクは高いままです。根本の生活習慣を見直すことで、最終的には薬に頼らない、健康的な身体づくりを目指す必要があります。
医師や看護師、管理栄養士、運動指導士等のメディカルスタッフのアドバイスのもと、食事や身体活動を見直すことが、予防につながります。
痛風ってどんな病気?
突然、足の親指のつけ根から猛烈な痛みにおそわれ、1~2時間もすると足の甲がぱんぱんに腫れあがり、風が吹いてもそのわずかな感触で激痛が走ります。こんな経験をする人が急増していますが、これが痛風の発作です。
若い男性に多い!?
現在、痛風患者数は約60万~70万人で、痛風の前段階である高尿酸血症、いわば痛風予備軍の人は約600万~650万人と推定されています。患者・予備軍共に男女比では98%が男性です。年齢的には40歳以上の人に多く見られますが、最近では20代後半の若い人にも痛風発作を起こす人が増えてきました。
これは、「食べ過ぎ」「ストレスが多い」「酒を多く飲む」といった生活習慣の乱れや、「エネルギッシュで手抜きができない」「激しい運動をする」といったことが大きく影響しているといわれています。
高尿酸血症になると、血液中に溶けきれない尿酸が結晶となって関節に沈着し、痛風発作を起こします。高尿酸血症からすぐに痛風発作に結び付くのではなく、発作が起きるまでには少なくとも約8年以上は経過しているといわれています
プリン体とは?
激痛のもとになる尿酸は、細胞の核、DNAやRNAが分解されてできるプリン体といわれる物質が原料で、次のような3つの方法で作り出されます。
- 魚の卵など、プリン体の多い食品を摂取し、食事によって体内のプリン体が増える
- 体内の細胞の核酸にプリン体が含まれており、新陳代謝により古い細胞が分解されるとプリン体が出てくる
- 急激にエネルギーを使うと体の細胞が壊されプリン体が生み出される
プリン体の産生量としては②が最も多いのですが、古い細胞が破壊されていくのは人間が生きている以上避けることはできません。①と③を上手にコントロールすることが高尿酸血症や痛風の治療・予防にとっても重要です。
プリン体の多い食品を控える
レバー・干物・いくらなど
急激にエネルギーを使う活動を控える
・激しいスポーツ
・夜遅くまで仕事をする
・筋トレ など
以上のことに注意することによって高尿酸血症や痛風にはなりにくくなります。さらに痛風が原因となって発症する尿路結石、痛風結節(関節にできる大きな瘤)、腎障害(腎臓の働きが低下し、最悪の場合は腎不全になって透析療法へ)といった怖い合併症を引き起こすこともありません。