産後では女性の体が急激に変化していきます。子供が生まれ母親となった身には精神的、および肉体的なストレスがかかります。出産すると身体的にも様々な変化が現れます。その例としては以下に示したようになります。
産後に生じる症状一覧
・体重の変化
・妊娠中の姿勢の変化
・体力低下
・育児動作による身体負荷
・肩こり
・苛立ち
・倦怠感
・頭痛
・尿漏れ
・腰痛
日本腰痛診療ガイドラインでは、肥満などの生活習慣の悪化が腰痛と関連があると発表しています。
運動機能の向上だけでなく、生活習慣の改善も必要になります。
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産後の腰痛の治療で「体重をもとに戻す」ということも一つの課題になります。
妊娠中や出産後の両期間で肥満などの問題が生じてしまいます。産後から運動を始めるまでの流れとしては、通常出産後6週間経てば、産後の運動を始めるように主治医から許可が出ることがほとんどです。
しかし、帝王切開の場合は完全な回復までさらに数週間待たねばいけません。出産時の疲労に新生児の世話が加わることを考えると、最初の運動は強度を高めることは難しいです。強度高めて運動を行う精神的に不安定になり、腰痛な過食などの原因になりかねません。注意が必要です。
妊娠中のおよび出産後のエクササイズの重要性
産後の多くの女性は妊娠のたびに10kgの体重の増量があったといいます。
米国産婦人科学会は全ての肥満女性に対して妊娠前、妊娠中そして出産後に予防的体重管理を行うことを積極的に進めています。
母親の体重増加と妊娠中の体重指標は子供の出生体重と関係があり、母親の体重が思いほど、子供が過体重で生まれてくる可能性が高いです。肥満で生まれてきた子供はⅡ型の糖尿病になる可能性も高くなります。
もちろん産後の体操も大切ですが、妊娠中または妊娠前から運動が重要になってくることが分かります。
子供のためだと思って気づいた時から運動を始めてみるのは、いかがでしょうか?
産後腰痛エクササイズ
産後の腰痛には骨盤底筋がとても深く関わっています。骨盤底筋を自由自在にコントロールできるようにおなることが目標です。
骨盤底筋の機能を十分に発揮することができれば、産後の腰痛だけではなくその他の様々な女性特有のマイナートラブルを予防することができます。
産後腰痛プログラム
産後の腰痛には主にこの8段階の構成をしています。
①正しい知識の習得(骨盤底筋の機能、解剖、骨盤底筋機能不全に関わる疾患とその対策)
②セルフアセスメント(自身の骨盤底筋の状態を知る)
③呼吸・姿勢の運動(呼吸・姿勢チェックとストレッチ)
④骨盤底筋への感覚入力(様々なツールを使用しながら自身の最適な方法を探る)
⑤ケーグル体操(骨盤底筋の随意収縮・弛緩の繰り返し)
⑥骨盤周辺筋群との共同収縮(骨盤の動きと骨盤底筋収縮の連動)
⑦四肢動作に連動させた骨盤底筋の共同収縮(日常生活動作への応用)
⑧高負荷での共同収縮(スポーツパフォーマンス向上に向けた発展)
以上のような構成になっています。ぜひ産後腰痛でお困りの方はご相談ください。
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この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任