自宅で測ると正常ですが、健康診断では血圧が高いと言われます。心配ありますか?

自宅で測定した血圧が正常である一方、健康診断の時間だけ高血圧となるという状況について心配されているようですね。
まずは、血圧は日常的に変動することがありますので、このような状況は一時的なものかもしれません。

血圧は、何らかの刺激やストレスによって昇ったり、日常生活のリズムや体調の変化によって変動することがあります。
自宅で測定すると正常であるということは、一般的には健康な範囲内で血圧が安定していることを意味します。ただし、健康診断の環境や心理的な要因により、一時的に血圧が上昇することも考えられます。

もし、健康診断の結果に不安を感じる場合は、以下の点に注意して考えてみることができます。 

健康診断の時に血圧が上がる要因

1. 測定環境の違い

自宅で測定するときにはリラックスできる環境で行うことが多いでしょうが、健康診断では待ち時間や病院の環境によるストレスがあるかもしれません。これらの要因が一時的な血圧上昇につながる可能性があります。

2. 測定方法の違い

自宅で行う測定では慣れた方法や機器を使用しているかもしれませんが、健康診断では異なる方法や機器を使用していることがあります。
測定方法や機器の違いによっても結果が異なることがあるため、同じ結果を得るためには一貫した方法で測定することが重要です。

3. 計測前の準備

健康診断では血圧計への適切な準備が行われることがあります。
例えば、適切なサイズの袖を選んだり、適切な座り方を促されたりすることがあります。これらの準備は正確な測定結果を得るために重要です。

隠れ高血圧(Masked hypertension) 

しかしながら、この一時的な血圧の上昇が仕事中など一日の中で頻繁に起こり日常的に高血圧状態が繰り返される“隠れ高血圧”と言われる症状の可能性もあります。

働きざかりの中年男性に多いと言われている隠れ高血圧、実は危険な高血圧と言われています。

【隠れ高血圧(Masked hypertension)】とは、自宅や日常生活においては正常な血圧が測定される一方で、仕事中などストレスの環境下での血圧測定で高血圧となる状態を指します。

つまり、本来高血圧であるにも関わらず、通常の血圧測定では健康な範囲内と判定される状況です。

一日の労働時間が8時間とすると、一日の3分の1は高血圧状態になります。更に、これを見過ごし、血圧が高いまま放置されると、心血管疾患や脳梗塞などの合併症のリスクが増加することがあります。

高血圧と脳梗塞・心筋梗塞

脳梗塞は血管が詰まることにより、脳の一部が酸素や栄養を受け取ることができなくなる状態です。

高血圧は脳血管に負担をかけ、動脈硬化や血管の狭窄を引き起こすリスクを高めることがあります。そのため、長期間にわたる高血圧が続くと脳梗塞のリスクが増加する可能性があります。

また、高血圧は心血管系にも影響を及ぼします。
高血圧により冠動脈(心臓の血管)が収縮し、血流が正常に行われなくなることがあります。
その結果、心筋梗塞などの心臓疾患も引き起こされる可能性があります。

仕事中に脳梗塞が起きるリスクは、個人の健康状態やリスク要因などによって異なります。
しかし、高血圧は脳梗塞のリスクを高める要因の一つであり、放置すれば危険性が高まる可能性があります。

脳梗塞は突然発生するものではなく、高血圧による血管の損傷や狭窄が進行していくことで起こります。そのため、早期の血圧管理や適切な治療、生活習慣の改善が重要です。

さいごに

高血圧の管理に関しては、医師や専門家との相談をお勧めします。

医師は、あなたの具体的な状況やリスク要因を考慮し、適切な治療計画や予防策を提案してくれるでしょう。
また、定期的な健康診断や血圧測定を受けることも重要です。
早期の対応と適切な管理により、脳梗塞のリスクを減らすことができます。

この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。

【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任

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