病院は医療機関に当たります。医療機関とは医療法に基づいて定められた医療提供施設です。医療機関に該当するのは病院を除くと、薬局、訪問看護ステーションなどをさします。
接骨院でも怪我によって生じた腰痛を見ることができます。接骨院には国家資格である柔道整復師の資格を持つものが施術を行っています。骨折・脱臼・捻挫・打撲などの明らかに外傷が原因である運動器の怪我に対して治療を行います。
接骨院で腰痛の治療を希望する場合、医療機関で運動器以外の疾患を排除してから接骨院にいくと、より腰痛の治療効果が出るでしょう。
腰痛で病院に行く場合は何科に行けばいい?
腰痛がある場合はまず、整形外科に行くことをおすすめします。
腰痛の多くは運動器が原因です。腰痛で整形外科を受診すると、まずレントゲンをとるでしょう。
レントゲンでおおよそ運動器が原因で腰痛を起こしているのか、運動器以外で腰痛を起こしているのかを判断することができます。
レントゲンで原因がわからない場合はさらに、MRIやCTで評価する必要があります。
腰痛の多様性・腰痛の定義は?
腰痛は1つの疾患単位ではありません。症状の名称です。腰痛といっても内科から整形外科・運動器領域にわたり広く原因を考えていかなければなりません。日本整形外科学会が企画し、日本腰痛学会が作成した「腰痛診療ガイドライン」には腰痛の定義を以下のように示しています。
腰痛の定義
- 部位:体幹の後面に位置し、第12肋骨と殿溝下端の間にある。少なくとも1日以上継続する痛み、片側または両側の下肢に放散する痛みを伴う場合も、伴わない場合もある
- 有症期間:急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)、亜急性期腰痛(発症からの期間が4週間以上、3ヶ月未満)、慢性腰痛(発症から期間が3ヶ月以上)の3つに分類される
- 原因:脊椎由来、神経由来、内蔵由来、血管由来、心因性、その他に定義される。具体的な原因は以下の3つに大別される。危篤的な基礎疾患(悪性腫瘍、感染、骨折)、下肢の神経症状を併発する疾患、各種脊柱構成体の退行性病変(椎間板・椎間関節など)
腰痛の原因別疾患
・脊椎腫瘍(原発性・転移性腫瘍など)
・脊椎感染症(化膿性椎間板炎、脊椎炎、脊椎カリエスなど)
・脊椎外傷(椎体圧迫骨折など)
・腰椎椎間板ヘルニア
・腰部脊柱管狭窄症
・腰椎分離すべり症
・代謝性疾患(骨粗鬆症・骨軟化症)
・脊柱変形(側彎症、後彎症、後側彎症)
・非化膿性炎症性疾患(強直性脊椎炎、乾癬性性腰痛)
・脊柱靭帯骨化
・筋・筋膜
・脊柱構成体の退行性病変(椎間板性、椎間関節性など)
・仙腸関節性
・股関節性
・神経由来(脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など)
・内蔵由来
腎臓路系疾患(腎結石、尿路、腎盂腎炎など)
産婦人科系疾患(子宮内膜など)
・血管由来
腹部大動脈瘤
解離性大動脈瘤
・心因性(うつ病、ヒステリー)
腰痛にはさまざまな原因があります。まず病院で腰痛の原因をしっかりと判断してもらう必要があります。もし怪我によって引き起こされた腰痛であれば接骨院でも対応することができます
この記事は、BIG TREE. 練馬クリニックの院長、田部田 英之が
監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任