腰痛を繰り返しており、飲み薬やリハビリで良くならないので注射の治療を受けたいと思っています。腰痛に対する注射にはどのような種類がありますか?

腰痛の治療の注射にはいくつかの種類があります。
その中の代表的なものにトリガーポイント注射硬膜外ブロック注射です。それぞれの注射の種類や効果、特徴を説明します。

トリガーポイント注射

トリガーポイント(押すと痛いツボ)をみつけて、そこに麻酔薬を注射します。

2~5ヶ所が対象で、皮膚から浅い部分(0.5~1cm)に連続して注射します。
血液をサラサラにするお薬(ワーファリン、バイアスピリンなど)を内服されている方も受けられます。
全身(首、肩、背中、腰、四肢)の筋膜や腱膜の痛みに有効です。

しかし、強い神経痛にはあまり効果が期待できません。

硬膜外ブロック注射

背中にある脊髄をおおっている硬膜の外側に局所麻酔を注射します。

脊髄や神経に注射をするのではなく、その周りに麻酔をすることで、その先にある腰や脚の神経の痛みを和らげます。
血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方は注射できません。

個人差はありますが、1回目の注射で痛みがとれてしまう人もいれば、何度か注射する必要がある方もいます。

硬膜外ブロック注射の合併症

  • 一時的な足の脱力
  • 局所麻酔による中毒
  • 細菌感染
  • 神経刺激症状

一時的な足の脱力

ブロック注射によって麻酔がかかると、足に力が入りにくくなります。
足の脱力が生じた場合には、自然に回復するまで30分~1時間くらい横になって休んでいてもらいます。
足の脱力は一時的なもので、時間が経てば必ず元に戻ります。

局所麻酔による中毒

ブロック注射のために局所麻酔薬を使った後、急に次のような症状を起こすことが極めて稀にあります。

1)口の周りや舌のしびれ感
2)めまい、頭がくらくらする
3)耳鳴り
4)目がくらむ、かすんで見える
5)手足の筋肉がピクピクけいれんする
6)気を失う

このような症状が出た場合は、酸素を吸ってもらい、さらに点滴を行って、局所麻酔薬が体内で分解されて、排泄されるまでの間、経過を観察します。局所麻酔剤が体から抜ければ自然に回復します。

細菌感染

極めて稀に、針を刺した部分から細菌が入り、化膿することがあります。
背中が急に痛くなり、高熱が出て、さらに足がしびれてきて、思うように動かせなくなる麻痺が出現します。
ブロック注射後に背中が痛くなったり、発熱した場合には、当院まで至急連絡していただくか、受診して下さるようお願いいたします。

神経刺激症状

極めて稀ですが、ブロックした後に足の痛みがかえって強くなる場合があります。
注射によって神経の炎症が強まってしまったためと考えられています。

>>神経ブロック注射について詳しく見る

腰痛に対する注射まとめ

腰痛で痛いポイントが分かる場合は、トリガーポイント注射ができます。
トリガーポイント注射は筋膜や腱膜の痛みに有効で、血液サラサラのお薬を飲んでいる方も注射可能です。

ブロック注射には痛みを緩和する作用がありますが、ごく稀に上記のような合併症のリスクもあります。
また、硬膜外ブロック注射は脊椎への注射のため痛みを伴いますが、痛み止めの注射をしてから行います。
慢性的に痛みが続いているようでしたら、ブロック注射で緩和したうえでリハビリやトレーニングをすることが、痛みの緩和と悪化の予防に繋がります。

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